巻き尺アンテナも万能ではない!?

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DXerがこぞって使う巻き尺アンテナ。
それに憧れて多くの人が使いたいと問い合わせも多い。

巻き尺アンテナの利点はフルサイズ動作。
(注意:機種やバンドにより短縮動作)

それとどのバンドでもバンドの端から端までSWRはベストの状態で運用できる。

ですが、うかつにそのまま鵜呑みでお客様に販売施工するとえらいトラブルを招くこともある。

それは設置条件によりいくら巻き尺アンテナであってもSWRが下がりきらないことがあるからです。

これは巻き尺アンテナでなくトラップ式アンテナやフルサイズアンテナでも設置条件によって建物や地面との干渉が起こりアンテナのインピーダンスが想定内に収まらずSWRが下がりきらないということが起こります。

これ、ご相談や下見の時にある程度は予想できることです。
なのでそうならない設置を提案したりまた回避できるのであればそういう設計にする。
またはそうなる可能性があるのでそうなった時にはどうして対応するかなどを十分説明する必要がある。

これを知らずに、また知っていても説明を怠り安易に「大丈夫です!バッチリ施工します!!」なんてやってしまうと・・・

施工後にSWRが下がりきらない様子を見た施主様は、「SWRが高いのなんとかなるんですよね!?」となります。

実際にこんなことが起こるので予防線を張るって言うんじゃないけどトラブルにならないように十分説明し納得の上で施工させていただかないと良い設備ができないと思っています。

で、前置きが長くなりましたがSWRが下がりきらなかったときの対処施工をさせていただいたのでご紹介します。

アンテナは工人舎のKA1-403Liteです。
工人舎のアンテナが悪いって話じゃないので誤解の無いように!

3エレで動作する14MHzから上のバンドはD1(導波器)がインピーダンス整合の役目をするため何度か微調整を繰り返すとまずSWRが下がりきらないということは無い。

7/10MHzは短縮DPなのでマッチングコイルでインピーダンス整合をしている。
これがタワーの設置などメーカー側の想定のものなら問題ないが想定外の設置条件になってしまうとSWRが下がりきらないということが起こる。

ルーフタワーで設置するとどうしても地上や建物に近くなにかと影響を受けやすくなる。
当社はVERSA Beamのルーフタワー設置を多く経験しておりだいたいはスムーズに動くと認識しているが例外が起こることも経験している。

今回対応させていただいた施主様がその一例です。

設置条件が良くないのはご相談の時点でわかっていますしちゃんと説明させていただきました。
なにも問題ないかもしれませんし問題がおこるかもしれないと・・・

で、施工後にSWRを確認し繰り返し調整してもSWRが落ち切らない。
使えないほど悪いわけではないが精神衛生上あまりよくない。
そりゃ期待大きく高価なアンテナを上げたわけですから気持ちはわかります。

でもご説明した通りこの設置条件では悲しいかなこれがベスト。

施工後しばらくはこのまま使っていただいてトラブルもなく良く飛ぶと満足いただいていたがどうしてもSWRの高いのが気になると。

じゃぁやりましょうか!?
ただそれも完璧になるとは言い切れませんよ。
なんせ鉄板の屋根(折半屋根)でそれも屋根の面積が広くアンテナのすぐ下が地面みたいなものなので事実上の地上高が足りないので・・・

ということでアンナのインピーダンスを持ち上げるべくマッチングコイルを用意して出陣。

ファイバーエレメントを外しAEUをマウントから外して地上へ。

AEUのふたを開けてマッチングコイルを交換し元通りに組み付けてSWR確認。

1627613556591.jpg

1627613556672.jpg

 (周りのパーツにはんだごてを当てて焦がさないように洋上しながら作業する。)

用意したマッチングコイル1個目ではもう少し足りない感じだったので同じ作業をもう一度。

2個目のコイルで完璧とは言わないがかなり改善したのでこれで良しとする。

もっと求めればSWRは下がるとは思うがそちらばかりを追求すると今度はアンテナの耐入力が下がってしまうことになる。
(エレメントへかかる電圧が上がり耐入力が下がることにつながる。)

ほどほどのところで妥協することになったが改善されたのでストレスは少しは軽減されることだと思う。

この作業はクレーム対応ではないので無償でさせていたものではなく費用を頂戴している。

ちゃんとした説明もなくSWRが落ちないとなると不良品だとか施工不良だとかクレームになって販売(施工)店は対応せざるを得ないだろう。
たぶんそんなところはこうなる意味も分かってないだろうからメーカーにクレームを入れるに違いない。

当店が下見をし問題になるであろうことを説明して相談を重ねるのは安心してストレスなく使っていただける設備を作るためです。

そうしていても想定した悪い方の結果が出てしまうことがある。

そうなったときの対処方法や費用もあらかじめ説明できていたらトラブルにはならないし・・・

そもそもそんな可能性があるんだったらとそのアンテナを選ばないという選択肢もあるわけですしそうした説明も必要だと思っています。

なにもなく設置してハイ完璧!ってのが私も一番うれしいしもちろん施主様もうれしいでしょうけどこんなことも想定したお話をしてアンテナ設備の設計施工をさせていただいてるってお話でした。

すべてうまくいってくれるとええんですけど・・・

なかなかそうは問屋が卸してくれないですわ。(笑)

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